やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2024/12/31
非居住者へ対象資産を贈与した場合に適用される、国外転出(贈与)時課税とは

[相談]

 私(所得税法上の居住者に該当し、保有資産の総額は10億円ほどです)は、このたび、海外に居住する子(所得税法上の非居住者に該当します)に、私が所有する国内上場株式を贈与することを検討しています。
 聞くところによると、上記のような贈与を行った場合には、贈与時におけるその株式の含み益に対して所得税が課税されるとのことですが、その制度の概要を教えてください。

[回答]

 ご相談の制度は、贈与の時において1億円以上の対象資産を所有等している一定の居住者が、国外に居住する親族等(非居住者)へ対象資産の全部又は一部を贈与した場合には、その贈与の時に、贈与者が贈与対象資産を譲渡等したものとみなして、贈与対象資産の含み益に所得税が課税されるというものです(国外転出(贈与)時課税)。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.国外転出(贈与)時課税の概要

 所得税法上、居住者(※1)の有する対象資産(有価証券など)が、贈与等により非居住者(※2)に移転した場合には、その居住者の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、原則として、その贈与等の時に、その時における価額に相当する金額により、その対象資産の譲渡があったものとみなすと定められています。

 このため、その対象資産の含み益に対して所得税が課税されることとなります。

※1 居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。

※2 非居住者とは、居住者以外の個人をいいます。

2.国外転出(贈与)時課税が適用されない場合

 上記1.の規定は、贈与等の時に有している対象資産のその贈与等の時における価額に相当する金額の合計額が1億円未満である居住者又はその贈与等の日前10年以内に国内に住所もしくは居所を有していた期間として一定の期間の合計が5年以下である居住者については、適用しないと定められています。

 言い換えますと、国外転出(贈与)時課税の対象者は、贈与の時において、次の@及びAのいずれにも該当する居住者(贈与者)、ということになります。

@ 贈与者が所有等している対象資産の贈与の時の価額の合計額が1億円以上であること。

A 贈与の日前10年以内において贈与者が国内に5年を超えて住所又は居所を有していること。

3.国外転出(贈与)時課税の申告

 上記1.と2.の規定により国外転出(贈与)時課税の申告をする場合は、贈与者は贈与をした日の属する年分の確定申告期限までに、その年の各種所得に国外転出(贈与)時課税の適用による所得を含めて確定申告及び納税をする必要があります。

[参考]
所法2、60の2、120、128、国税庁「国外転出時課税制度(FAQ)」(令和5年6月最終改訂)など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
 

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