やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2025/03/04
不動産所得が赤字の場合における損益通算の特例とは

[相談]

 私には給与所得の他、個人で所有している土地を他者に貸し付けることにより得た所得(不動産所得)があり、毎年、それらの所得について所得税の確定申告を行っています。
 ところで、昨年分の不動産所得について、諸般の事情により赤字(100万円)が発生したのですが、所得税法上、この赤字はその全額を私の給与所得と損益通算できるのでしょうか。
 なお、上記の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した金額には、土地を取得するために要した負債(借入金)の利子の額10万円が含まれています。

[回答]

 ご相談の場合、不動産所得の赤字の金額(100万円)のうち、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した土地を取得するために要した負債(借入金)の利子の額に相当する部分の金額(10万円)については、損益通算の対象外となります。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.所得税法上の損益通算の概要

 所得税法上の損益通算とは、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、@不動産所得の金額、A事業所得の金額、B山林所得の金額、C譲渡所得の金額のいずれかの所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、原則として、一定の順序により、これを他の各種所得の金額から控除することをいいます。

 したがって、不動産所得の損失(赤字)の金額がある場合には、原則的に、他の黒字の所得金額からその赤字の金額を差し引くことができることとなります。

2.不動産所得に係る損益通算の特例の概要

 租税特別措置法には、個人の平成4年分以後の各年分の不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額がある場合において、その年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した金額のうちに不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地又は土地の上に存する権利(以下「土地等」といいます)を取得するために要した負債の利子の額があるときは、その損失の金額のうちその負債の利子の額に相当する部分の金額として一定の方法により計算した金額(※)は、上記1.の規定その他の所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかったものとみなすと定められています。

※ 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれに定める金額が、損益通算の対象外となります。

@ その年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子の額がその不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額を超える場合
……その損失の金額

A その年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子の額がその不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額以下である場合
……その損失の金額のうちその負債の利子の額に相当する金額

 したがって、今回のご相談の場合、不動産所得の赤字の金額(100万円)のうち、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した土地を取得するために要した負債(借入金)の利子の額に相当する部分の金額(10万円)については、損益通算の対象外となります。

[参考]
所法69、措法41の4、措令26の6など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
 

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