やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2025/06/03
食券の支給と給与課税

[相談]

 当社はこのたび、従業員への福利厚生の一環として、従業員の昼食代の一部補助制度を導入することになりました。
 ただ、当社には社員食堂がないため、食券(電子的なもの)の交付による昼食代補助を検討しています。
 具体的には、会社が額面5,000円の食券(電子的なもの)を1ヶ月につき1枚、従業員にその半額の2,500円で販売し、食券の額面と従業員が負担した金額との差額2,500円については、会社がその食券を従業員に販売する際にあらかじめ入金(チャージ)しておき、そのうえで、従業員は昼食時に会社が契約した特定の飲食店にてその食券を利用する、というものです。
 そこでお聞きしたいのですが、上記の昼食代の一部補助額について、所得税法上、従業員に給与課税を行う必要があるのでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談の昼食代の一部補助額については、ご相談の運用方法だけでは給与課税の対象になるものと考えられますが、一定の要件を満たした運用方法とすることで、給与課税の対象外となる可能性もあると考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.給与所得の収入金額に含まれるもの

 所得税法では、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、原則として、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもって収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とすると定められています。

 したがって、給与所得の収入金額には、金銭で支給されるものだけでなく、食事の支給などの経済的利益(いわゆる現物給与)も、原則として含まれることになります。

2.食事の支給(現物支給)について、給与課税されないための要件

 使用者(会社)が役員又は使用人(従業員)に対し支給した食事(残業又は宿日直をした人に支給する食事を除きます)につき、@その役員又は使用人から実際に徴収している対価の額が、一定の方法により評価したその食事の価額の50%相当額以上であり、かつ、Aその食事の価額からその実際に徴収している対価の額を控除した残額が月額3,500円以下である場合には、その役員又は使用人が食事の支給(食事の現物支給)により受ける経済的利益はないものとする(=その経済的利益には所得税が課税されない)こととされています。

3.食券の支給が、食事そのものを支給した場合と同視できるとされる場合

 国税庁によれば、「食事の支給」とは、企業が従業員に対して、契約業者から購入した弁当を提供することや、社員食堂で食事を提供すること等(=現物支給)をいうものとされており、「食費の補助」(=現金支給)については、原則として給与とみなされ、所得税の課税対象(給与課税の対象)になることとされています。

 その一方で、国税庁は、上記2.の要件を満たしていることを前提として、

@食券は、従業員の勤務日において、会社が契約した特定の飲食店での飲食又は飲食料品の購入(持帰り)でのみ利用可能であること(=勤務日以外の利用や、アルコール類、飲食料品以外のものへの利用が不可であること)
A食券は、従業員本人の食事代のみについて利用可能であること(=従業員の親族等に係る食事代への利用や、食券の他人への譲渡ができないこと)
B食券の未使用分を繰り越して、一度に多額の食事をするためにその食券を利用することができないように、一般的な昼食等としての相当額の範囲を逸脱しない、食事1回あたりの食券の利用限度額(例:1回2,500円まで)を設けること
C実際に要した食事代金が食券の額面に満たない場合であっても、釣銭を受け取ることができないこと
D毎月販売された食券の未使用分については、その繰り越し利用可能期間(例:販売日から1年)を設定すること

 以上の要件が満たされれば、その食券の支給は食事そのものを支給した場合と同視することができるものと考えられる、としています。

 したがって、今回のご相談の昼食代の一部補助額については、ご相談の運用方法だけでは給与課税の対象になるものと考えられますが、上記の内容に沿った運用方法とすることで、給与課税の対象外となる可能性もあると考えられます。

 このため、実際に昼食代の一部補助制度を導入される場合には、事前に最寄りの税務署や顧問税理士に十分にご相談・ご確認いただきながら進めていただくことをおすすめいたします。

[参考]
所法36、所基通36-38、36-38の2、国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」(令和3年5月31日更新)など

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